













東京大学工学部新2号館
new building 2, Faculty of Engineering, UT
2005 東京都文京区
東大の本郷キャンパスには日本の近代化の歴史が色濃く残っている。工学部2号館旧館(内田祥三設計、大正13年)もそうした歴史の痕跡の一つで、安田講堂とともにキャンパス中心部の景観を長年にわたり形作ってきた。一方、「新」2号館の計画では工学部の新しい拠点施設として膨大な量の空間が求められた。歴史的環境の保全と新しいニーズの狭間にあって、旧館の安田講堂側半分を改修保存した上で二本の巨大な研究棟ブロックをその上空に浮かべる案に辿りつく。地上に連続的に広がる歴史的環境を断ち切らず、巨大施設の建設を現在の営為として接続しようとした。 旧館をまたぐ大スパンの構造によって無柱のフレキシブルなスペースが実現した。濃い色とリアルなテクスチャの旧館に対し、増築部では墨絵のようなモノクロームの世界を対比させる。新館低層部の透明なガラススクリーンには周囲の緑が映し込まれ、内部で繰り広げられる活動の姿が重なる。 内部では研究室単位のまとまりを超えた公共的なオープンスペースがネットワークのように展開する。地上レベルでは新館で覆われた旧館の光庭が広場−「フォラム」となり、新旧両棟の隙間は街路に見立てられた「アカデミックバレー」となる。空中にはキャンパスの緑を見下ろす「キッチンラウンジ」や「テラス」が散開し、この建物で繰り広げられる多様な活動と過去の営為の蓄積が引き合わせられる。
教育・研究施設
延床面積:32,400㎡
構造・規模:S造一部SRC地上12階地下1階
構想案
