山中湖内藤セミナーハウス
Lake Yamanaka Naito Seminar House, UT
2009 山梨県南都留郡山中湖村
昭和4年に完成した旧山中寮は80年にわたって運動会の夏合宿に使われ、卒業生にとって学生時代の思い出を刻む場所である。岸田日出刀設計による大きな屋根が特徴の木造建築であったが、厳しい自然の中で老朽化が進み、東京から近く自然に恵まれた場所でありながら、夏の利用に限定されていたため大学が改築を検討していたところ、リンナイ会長の内藤進氏からご寄付をいただき現代的なセミナーハウスとして建て直せるようになった。 敷地は富士箱根伊豆国立公園の一角、山中湖南岸占める東京大学富士演習林内にある。南には針葉樹の高木林が広がりを、北側の湖に向かっては緩やかに下り、富士の裾野の雄大なスケールが感じられる。敷地から見える冬の冠雪した富士山は神々しく、新緑の春も紅葉の秋もすばらしい。 計画では、自然の中で世代間の交流が深められるような場が求められた。それには一つのまとまりある「内部」を抱く大きな「家」のような建物がふさわしい。多様な場を内包しつつ強い一体感をもちうる「家」である。人は大自然の中の一つ屋根の下で寝食をともにし、時と場を共有していると実感できる。 建物は屈曲しながら連続する黒い外殻をもつ。外殻は人を包み込むように屋根、壁、床が連続した五角形断面をもつ。外殻には箱状の窓辺の席が貫入し、周囲の風景を切りとり、光と風を導き入れる。内部では微妙なレベル差で五つのフロアが連続し、様々に異なる風景に開かれた場が次々と現れる。屈曲する外壁は周囲の樹木や微地形と応答し、空間の襞となって大小の屋外スペースを生み出す。この場所の風景と建築が噛みあい一つの連続体へと変容し、人と人を結びつける触媒のような装置となればよい。
研修・宿泊施設
延床面積:2,039㎡
構造・規模:S造一部木造地上2階
受賞
山梨県建築文化奨励賞 2009
旧山中寮